移動平均線とは?
移動平均線は、一定期間の終値の平均値をつなぎ合わせて線にしたものです。この移動平均線は、種類が多く存在します。代表的な移動平均線は、5日移動平均線や10日移動平均線と呼ばれるものです。こう見ても、おそらく理解し難いのではないかと思いますので、例題を。たとえば、ある会社の株価に関する5日移動平均線を作ってみましょう。
(株価:終値)
1日 150円
2日 100円
3日 200円
4日 170円
5日 140円
6日 130円
7日 180円
8日 150円
9日 160円
10日140円と、10日間の株価の推移があっととします。
(平均株価:終値)
5日 152円→(150円+100円+200円+170円+140円)÷5
6日 148円→(100円+200円+170円+140円+130円)÷5
7日 164円→(200円+170円+140円+130円+180円)÷5
8日 154円→(170円+140円+130円+180円+150円)÷5
9日 152円→(140円+130円+180円+150円+160円)÷5
10日152円→(130円+180円+150円+160円+140円)÷5この平均株価を線グラフにしたものが、5日移動平均線と呼ばれるものです。直近、5日間の平均している値ですので、5日移動平均線です。これが、10日や20日であれば、10日分の平均株価、20日分の平均株価ですね。今は、便宜上、5日としていますので、5日移動平均線としていますが、これは、日である必要もなく、週でも月でも構いません。この移動平均線を複数使うことによって、短期・中期・長期の株価のトレンドを把握することができます。
移動平均線の計算方法
少し数学的なお話になりますが、数学嫌いな方は、お付き合いを。この移動平均線の「平均」の計算方法は、3種類あります。
•単純平均 (SMA)
•加重平均 (WMA)
•指数平滑平均(EMA)上述の移動平均線は、単純平均で計算しています。単純に、各日の終値を合計して日数で平均しているだけです。一応、単純移動平均の定義です。単純移動平均(Simple Moving Average)とは、文字通り、ある一定の期間の終値を単純に平均した数字で作られている移動平均を言います。次に、加重移動平均(Weighted Moving Average)ですが、5日加重移動平均線だと、5日目の価格を5倍、4日目の価格を4倍、3日目の価格を3倍、2日目の価格を2倍にして計算しています。こうやって、単純移動平均よりも、直近の価格に重点を置いた分析をできるようにしています。
上記の例を基に計算式で表すと、
5日加重移動平均=(150円×1+100円×2+200円×3+170円×4+140円×5)÷(1+2+3+4+5)=155.33
になります。そうすると、単純移動平均線よりも、3円程高い数値となりますね。株価チャートでよく使われる移動平均線では、最後に、指数平滑移動平均と言うものがあります。指数平滑移動平均(Exponential Moving Average)とは、これは直近の価格を2倍にして計算した移動平均です。5日EMAだと、SMAの計算式の5日目の終値だけを2倍にし、5日+1で計算したものです。そのため、加重移動平均線と比べ
て、より直近の価格に重点を置いたものになっています。
移動平均線を株式投資に活用するには?
ここまで、移動平均を見てきたところで、「それで?」と思われた方も多いのではないかと思います。と言う事で、なぜこの移動平均線が、株式投資やFXと言った投資活動指標として多くのトレーダーが使っているのかを見てみましょう。例えば、先の株価の終値の数値を、単純に見て見る事にしましょう。ただ、単に見ているだけでは、当然、数字の羅列なので、そんなものかと言う程度にしか分かりませんよね。では、その数値を線グラフでイメージしてみましょう。デコボコではありますが、終値の動き(=トレンド)がイメージしやすくなったのではないでしょうか。
ただし、ここで注意して頂きたいことがあります。統計学と言う学問分野では、場合によっては、個々の株価の動きの中でも異常値と呼ばれる数値が生じる場合もあると考えます。株式の世界で言うと、企業不祥事による突発的な株価の暴落や仕手筋による株式の空売り、TOBの実行だったりと、様々な要因が考えらえます。通常の終値を移動線にした場合、こうした数値も通常の株価の動きとして見えてしまうため、通常の評価による株価の動きなのかどうかが見えにくくなります。そうした異常値を極力排除するために、各平均値を使ってなだらかなものにしようと試みています。こうして計算した株価の移動平均と当日の株価を比較することで、今、投資対象としている銘柄が、今後、どのような展開を行うのかと言うトレンドを掴みやすくするためにあると言えます。
と言う事は、現在の株価の動きをみる事に特長のあるローソク足と移動平均を組合せて短・中・長期でのトレンド分析、投資分析を行うと強味が持てると言う事がお分かり頂けるのではないでしょうか。そのためローソク足と移動平均線の2つを組合せて投資活動を行う投資家が多い、投資専門家もこれらのチャート分析を基本としているのもうなずけますね。