移動平均線分析とは?
移動平均線分析は、株価のテクニカル分析において使用される指標です。移動平均線は、過去の一定期間の株価の平均値から求め、5日移動平均線であれば、過去5日間の終値の平均値となります。移動平均線は、テクニカル分析の指標として最も基本的なものです。移動平均線には、大きく分けて2種類、長期移動平均線と短期移動平均線があります。
一般的に、チャートには長期移動平均線と短期移動平均線の2種類の移動平均線が表示されています。長期移動平均線は、週足では26週線、日足では25日線、日中足では4時間線を示すことが一般的です。短期移動平均線は、週足では13週線、日足では5日線、日中足では1時間線を示すことが一般的です。
ご自身の見やすい様に、何週線、何日線、何時間線にするかは自由です。長期移動平均線は、株価のトレンド(基調)を暗示する場合が多く、これが上を向いているか、下を向いているかを見るだけで、株価の今後の変動を予測すると言う事に特徴があります。移動平均線分析は、それぞれの移動平均線の動きを分析し、投資判断を行うための分析になります。これが、同じ株式投資の分析手法のファンダメンタル分析と違う所ですね。
この移動平均線の動きには、大きく分けると、「ゴールデンクロス(GC)」と「デッドクロス(DC)」の2種類があります。
ゴールデンクロスとは?
移動平均線分析は、通常、短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均線の3種類を使って株価の動きを分析します。過去の経験則では、株価が底入れから上昇に転じると、まず短期線から上向きに変わり、株価の上昇が続くに従って中期線・長期線が上昇基調に変わっていきます。そして、それまでは上から長期線、中期線、短期線となっていたものが、上から短期線、中期線、長期線の順番に入れ替わります。この過程で中期線が長期線を下から突き抜けることを「ゴールデンクロス」といい、上昇相場に入ったことを示すシグナルとして利用されています。
株価が下落するときは、安直に最高値よりも株価が下がっているので、再び株価が反発するだろうと見込んで買いポジションを取る方が多くいます。何も分析せずに、買いポジションを取り、高値で買いで焦げ付き、塩漬け株となり売り損ねている状態ですね。分析もせずに、安直に手を出している方々ですから、その様な方々は損を出したくない一心で「損切り」もせずに、再び株価が反発してくるのをひたすら待ちます。この時点で、チャンスロスが出ていることにも気づかずにです。
これは、高値で買っていた人の”売りたい”という思いが株価を上から押さえている状態を指していると言えます。そして、売りたい人の多くが上昇を待ち切れずにあきらめて損切りをしてしまい、その重石が取れたときがちょうどゴールデンクロスのタイミングに切り替わったと言うケースが非常に多いのです。
つまり売りたい投資家が少なくなり、買いたいと思う投資家が多くなる訳ですから、単純に株は上がるしかないと言う事なのですが。
デットクロスとは?
デッドクロスは、ゴールデンクロスとは全く逆の分析結果になります。
ゴールデンクロスと違う点は、「だまし」と言う現象がありますので注意が必要です。デットクロスは、株価の上昇が止まり、下降に入ると移動平均線が短期線、中期線、長期線の順に下がり始めます。この過程で
中期線が長期線を上から下に突き抜けることを「デッドクロス」といい、上昇相場の終わりを示すといわれています。デッドクロス後は、上から長期線、中期線、短期線の順になり、下降相場に入ったことを示すシグナルとして利用されています。
「使えるゴールデンクロス」と「使えないゴールデンクロス」?
株価の上昇転換を示す「ゴールデンクロス」ですが、残念ながらすべての「ゴールデンクロス」が買いサインというわけではありません。
実際にチャートを見てもらうと分かりやすいのですが、一方では、株価がしばらく底値で推移した後に出た「ゴールデンクロス」があり、もう一方は下落した後に急騰して、再び株価が下がった後に出た「ゴールデンクロス」があるとします。「買っても良いゴールデンクロス」は、株価が大きく下落して「横ばい」を続けた後に出た「ゴールデンクロス」です。この「使えるゴールデンクロス」は、実際の株価と移動平均線があまり離れていないと言う点に特徴があります。長く同じ価格帯を行ったり来たりしていた後に出た「ゴールデンクロス」は、今までと違う何か新しい材料が出た可能性があり、横ばい期間が長いほど上昇率も大きくなりますので、スクレーピングやデイトレードと言った超短期売買には不向きなトレンドだと言えます。
一方では、急落した後に、急騰して切り返すようなV字型の上昇であらわれた「ゴールデンクロス」があります。このようなトレンドのゴールデンクロスは、「使えないゴールデンクロス」と呼ばれています。「使えないゴールデンクロス」は“だまし”になることが多いので良く見極める必要があります。「使えないゴールデンクロス」は実際の株価と長期の移動平均線が大きく離れている点に特徴があります。このケースの場合「ゴールデンクロス」が出たときには、もう株価がかなり上がってしまっているケースが多い点に特徴があります。
余談ですが、長期移動平均線が下降している場合のゴールデンクロスと上昇している場合のデットクロスは、一時的な株価の変動である場合が多く、この場合に買いポジションを取ったり、売りポジションを取るのは負けリスクが高まると言われています。